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Aras InnovatorのTOCとViewを設計する — TOC Editor以降の変更点まで

TOCは入口、View(Form)は中身です。Aras Innovatorは Release 2023 を境にTOCの作り方を変えており、旧版のTOC Access・TOC Viewを直しても左メニューは変わりません。TOC Editorでの組み立て方、1ボタン1 Identityという制約、Classificationごとのフォーム切り替え、本番移行でメニューのフォルダだけが移らない事故まで、開発者向けに整理します。

2026-09-21読了 約9分Aras InnovatorTOC EditorForm・ViewCUI
動画は準備中です。公開までは、この記事だけで完結するように書いています。

TOCは「入口」、View(Form)は「中身」です。前回まででデータと一覧画面を作りました。この回は、それを誰にどこから開かせるかの話です。

この回でいちばん先に知っておくべきことは、技術の中身ではありません。Aras InnovatorはRelease 2023を境に、TOCの作り方そのものを変えています。古い手順書のとおりに設定しても、左メニューは変わりません。ここを知らずに数時間溶かす人が、毎年出ます。

この記事は、当社がAras開発メンバーを育てるときの5回目の内容です。

1. TOCとViewが決めていること

部品決めること
TOC(左のツリー)何を、誰に、どの並びで見せるか。クリックしたときに何を開くか。
View(Form)開いたItem 1件を、どの項目で、どう並べて見せるか。

どちらもデータの見え方だけを決めています。中身が見えるかどうかを決めているのはPermissionです。この境界を混ぜると、切り分けができなくなります。

2. 先に確認すること — バージョンで作り方が違う

バージョンTOCの作り方
Release 2023より前(11・12 など)ItemTypeの TOC Access(見せる相手のIdentity)と TOC View(クリック時に開くビュー)で組み立てる
Release 2023以降TOC Editor(CUI=Configurable User Interface)で組み立てる。旧来のTOC Access・TOC Viewは使われない

2023以降の環境にも、TOC AccessとTOC Viewのテーブル自体は残っています。ただしこれはインポート時の衝突を避けるために残してあるだけで、中身は空です。TOC Editorが書き込む先は、CUIのコマンドバー側です。

したがって、引き継いだ環境でまずやることは決まっています。バージョンを確認し、TOCがどちらの仕組みで作られているかを見る。設定画面を触るのは、そのあとです。

3. TOC Editorで組み立てる

TOC Editorは、左メニューをそのままの形で編集する画面です。置ける部品は、フォルダと4種類のボタンだけです。

部品クリックすると開くもの
Category(フォルダ)開かない。中のボタンをまとめるだけ。
ItemTypeボタンそのItemTypeのナビゲーションペイン(検索やよく使う操作)
Itemボタン特定のItemを1件、新しいタブで
Formボタン指定したFormを新しいタブで
Pageボタン指定したHTMLページを新しいタブで

制約を1つ、先に覚えてください。ボタンの表示先(Access)に指定できるIdentityは、1ボタンにつき1つだけです。3つの部署に同じボタンを見せたいなら、ボタンを3つ作るか、その全員を含むグループIdentityを先に作ることになります。

順番としては、Identityを整理してからTOCに手を付けるほうが早く終わります。逆順でやると、部署が1つ増えるたびにボタンを作り直すことになります。

4. View — 同じItemTypeに、複数の画面

ItemTypeを作ると、既定のFormが1つできます。ほとんどの案件は、ここに項目を足していくだけで足ります。Formを分けるのは、分類(Classification)によって入力する項目がはっきり違うとき、あるいは同じItemを部署ごとに別の見え方で見せる必要があるときだけです。

FormとItemTypeは、ItemTypeのViewsリレーションシップで結びます。ClassificationごとにFormを割り当てることができ、Classificationを指定していないものが既定として使われます。

分ける前に、線を引いてください。項目が2〜3個違うだけなら、Formは1つのままにして、表示・非表示を切り替えるほうが保守が軽くなります。Formを分けた数だけ、今後の改修がその数だけ増えます。1年後に効いてきます。

5. 実務で必ず当たる4つ

  • 左メニューに出てこないのは、権限ではなくAccessの指定であることが多い。 ItemTypeのPermissionをいくら直しても、TOCボタンのAccessに入っていなければ左メニューには出ません。逆に、メニューに出ていてもPermissionがなければ中身は空です。「メニューに出るか」「開いて中身が見えるか」の2段階で切り分けてください。
  • 本番に移したら、メニューのフォルダだけが移っていない。 ItemTypeのボタンは対応するItemTypeと一緒にパッケージへ入りますが、Categoryは com.aras.innovator.cui_default のパッケージに自分で入れる必要があります。ボタンはあるのにフォルダがない、という形で崩れます。移行のたびに起きるので、手順書に固定で書いてください。
  • 旧バージョンの手順書どおりに設定して、何も起きない。 2023以降のTOC Access・TOC Viewです。社内に残っている手順書には、必ず対象バージョンを書き添えてください。
  • 既定のFormを複製して分類に割り当てたら、保存できなくなった。 複製元との結びつきが残り、新規作成時に失敗することがあります。Formの複製は、見た目より高くつく操作です。分ける必要が本当にあるかを、もう一度確認してから複製してください。

6. どこまでTOCに載せるか

ユーザーがやること置き場所
毎日、同じItemTypeを探すTOCのItemTypeボタン
決まった1つの画面をいつも開くTOCのFormボタン/Pageボタン
複数のItemTypeをまたいで見るTreeGridViewを1つ作って、そこへ1ボタン
月に数回の管理作業TOCには載せず、検索またはリンクで

判断の基準は開く頻度です。頻度の低いものを載せると、頻度の高いものが下へ押し出されます。左メニューは、項目を足すほど価値が下がる数少ない場所です。

次回は、Client EventsとServer Eventsを扱います。画面とデータに、どこで処理を差し込むかの話です。

FAQ

この回で、よく聞かれること。

TOC Accessを編集しても、左メニューが変わりません。

Release 2023以降の環境である可能性が高いです。2023からTOCはTOC Editor(CUI)で管理されるようになり、旧来のTOC AccessとTOC Viewは使われていません。テーブル自体はインポート時の衝突を避けるために残っていますが、中身は空で、編集しても画面には反映されません。まずInnovatorのバージョンを確認してください。

1つのTOCボタンを、複数の部署に見せたいです。

TOCボタンのAccessには、1ボタンにつき1つのIdentityしか指定できません。複数の相手に見せたいときは、同じボタンをIdentityの数だけ作るか、その全員を含むグループIdentityを先に作って、それを1つ指定します。実務では後者をお勧めします。ボタンを複製すると、あとで表示条件を変えるときに全部を直すことになります。

TOCには出ているのに、開くと何も表示されません。

TOCへの表示とデータの参照権限は別物です。TOCボタンのAccessは「メニューに出すかどうか」だけを決めており、中身が見えるかどうかはItemTypeのPermissionが決めます。切り分けは、「メニューに出るか」「開いて中身が見えるか」の2段階で確認してください。

本番環境に移したら、メニューのフォルダだけがありません。

ItemTypeのボタンは対応するItemTypeと一緒にパッケージへ入りますが、Category(フォルダ)は com.aras.innovator.cui_default のパッケージに自分で入れる必要があります。入れ忘れると、ボタンはあるのにフォルダがない状態になります。移行手順書のチェック項目に入れておくのが確実です。

分類ごとにフォームを分けるべきですか。

入力する項目がはっきり違うときだけです。ItemTypeのViewsリレーションシップでClassificationごとにFormを割り当てられますが、分けた数だけ今後の改修コストが増えます。項目が2〜3個違うだけなら、1つのFormのまま表示・非表示を切り替えるほうが保守が軽くなります。また、既定のFormを複製して別のClassificationに割り当てると、保存できなくなる事例が報告されています。複製は慎重に扱ってください。

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